Twitterでスクールサポートスタッフの方と繋がり始めて、あらためて知ったこと。
教員業務支援員というものができて、それがボランティアや低賃金で雇われているところに、校長先生から、「次はICT支援もお願いすると思う」と話があったとのこと。
もちろんそのお一人の呟きだが、すでにその待遇でICT支援をしている方を何人か知っている。
これを聞いてかんがえることが3つ。
「後から無償で上乗せは契約上あり得ない」
「今のICT支援はとても中途半端」
「教員業務支援員も学校ICTを使う以上セキュリティなどを学ばないと危ない」
少なくとも今までなぜICT支援員の認定試験ができたのかをご存じない方がそういうことをいうのだと思うので、仕方がないが、何も知らずについでにやって良いものではないことを改めて広めたい。
これまで誰でもいいからと、やってもらっていたせいで起こる品質の問題を解決すべく、この認定試験がある。
まずはこれを知ってほしい。
教員業務支援員は、採点・印刷・T2・文書作成など、教員の事務的な仕事と授業のサポートをしている。そこにICT支援を載せると、授業準備、障害対応、下手をすればアカウント管理まで手探りでも学校の業務を一通り見ることになる。
とはいえ、GIGA以降ICT支援員はほぼ手探りで現場でもがくのが普通になり、いきなり役に立てないだけでなく、顔を知られていないからよそもの扱いになっている。
先にSSSとして先生方の今必要で「今」めんどくさいことを助け、今の学校の仲間に入れてもらえてから、「未来」に向けて「今」やはり必要でめんどくさいICT活用のサポートを増やす形なので、前からいる方は先生も相談しやすく馴染みやすいだろう。
ただ、懸念は紙文化から脱却するのを紙文化の手伝いをすることで妨げないか?ということだ。
ICT支援の歴史を知らない方が多いので、仕事を分割してしまったのかもしれないが、そもそも私が始めた20年前は、全部やっていたことだ。もっというなら名簿の編集も学校調査アンケートも、図書館の蔵書の登録も、保健の先生のプレゼンのためのデータ編集や資料作成も。給食の材料注文のエクセルツール作ったこともあった。成績表を出すExcelも印刷マクロもあった。契約が終わっているのに、携帯が個人のだったため、管理職から電話が土曜日までかかってきて、1日たった5000円で、異動先へのデータ移行と端末設定、さらに送迎まで頼まれたこともある。
今なら怖すぎるが多分いまでもそれならやってほしいと言われかねない。
そしてこれらのリソースはすべて自腹だった。ただ、私の時給は今の平均の倍はもらえていたし、学校のICTはもっと自由だったから、先生方も自分の好きなPCを買って持ち込んでいたため、ルールに関するお悩みや無理な使い方をするために頭をひねる必要はなかった。
管理とセキュリティと予算と…そういうものが整えば整うほど、自由な発想や活動は制限されてきた。これも予算の削減によるものでもあるだろうし、起こる問題を「制限」で抑え込んできた結果だろう。
そこにまた制限だらけの人材を入れてもしんどいのだ。
アカウント管理は個人情報なので、私たち外部人材はとにかくさわらないように言われている企業も多い。もちろん私もそのように伝えている。
なにより1年しかいない上にやり方も習っていない人に渡してアカウント消したとか、データ消したという事例は本当によくあり、インシデントは、こちらが賠償や謝罪になるだけなので、苦労して、悪者になるのは避けたい。
ただ、逆にそれを先生に任せたらどうかというと、起こるミスは同じだ。
それどころか、忙しい先生がやれば、当然もっとミスや失念が起こりやすい。
また、特権管理者が手に入ると、一気にセキュリティがガバガバになることがある。
管理の権限を持つことは、使う立場でもある先生にとって「神の手」を手に入れたことになるからだ。
悪気はなくとも、自分がやりたいこと、一部の推進したい先生方の考えを「国の意思」として、必要だからと、ゲートを開けてしまうことがある。ゲートにはゲートキーパーが必要なのだが、開けても閉めるならともかく開けっぱなしになっているケースが頻発している。悪気があるのではなくても、忙しいから、また使うかもしれないから、と面倒な後片付けができないのだ。
また、同様に、学校アカウントは強固に外部から守られているし、内部からも持ち出しが難しいが、それも同じドメインのアカウントを作って仕舞えばあっさり中に入れてしまう。
独断でPTAや一部の部外者にアカウントを出してしまって、その後を管理しないとどうなるか想像に難くないだろう。
権限によってはこどもの成績や作品にも触れることができてしまうからこそ、クラウドサービスのアカウント管理はとても、大切な業務なのだ。
つまりICTに関しては、紙の業務に比べて、一つ鍵を渡すことでとんでもない事故につながるということだ。だからこそ、ICT支援員は、支援に徹するが、先生の一番しんどいことが、GIGA前と後では大きくちがってきている。
スクールサポートスタッフだって、ICT支援業をしないとしても、職員の仲間として学校のPCを使う以上、今のセキュリティや個人情報、著作権についての知識なしではいつ事故が起こるかわからないのはご理解いただけるだろう。優秀で信頼されているスクールサポートスタッフの方々も多いのだから、活躍していただきたい。
そこで、私としては、学校ICTに関する仕事を、今までのICT支援の仕事と、アドミニストレーターの権限を持ち、しかしそこに利害のない、丁寧にマニュアルを読んで正確に操作をするスキルの必要な仕事と、交通整理して、長期常駐の職業を定め、トレーニングをするべきだと思う。
すでになし崩しにやってしまっている場合も含めてどっちに属していけば安全かを検討してほしいと願う。
そして、学校で生活するすべての人にたいして、セキュリティについての啓発ができるスキルを、この常駐する人材につけてもらう必要があると思う。
それを実現するために、これから大きく動きたいと考えている。
そのためには、各サービスの知見を持った人の協力が必要だ。同時にICT支援員のあるべき姿、必要なスキル、そして待遇!これを再構築する必要があるだろう。
ネットのトラブルを怖がって中学から突然制限が厳しくなるのはなぜか?これまでなら、「友達をなぐってはいけない」「物を盗んではいけない」など、自信を持ってご指導されていた先生が、ICTになると指導に困るのか?それは、明確なルールや、マナー、安全を守るための知識が広まっていないからだ。
学校のそうしたセキュリティに不安がある限り、先生は安心して子供たちをこの世界に放つことができないのだから、学校こそセキュリティの高い、知識をしっかり持った大人が子供を悪意から守りながら、思いきり自由に楽しめる場を作っていくべきではないかと思う。
Comments