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執筆者の写真かんがえる社長

ICT pilot〜学校をサポートするなんていう不遜なセリフを口にするために

私の仕事はICT支援員さんをコーディネートすることや、サポートしたり、配置したり、探してきたりすることもある。


ICT支援のコーディネーターっていうのも本当に隙間産業で、しかもこの仕事になると、トラブルシュートは機械に関することではなく、人間関係に関することが爆発的に増える。この6年くらい私の仕事って、初対面の人に説明をして納得して信用してもらうことと、謝りに行くことと、ICT支援員の仲間のストレスをどうしたら減らせるかをかんがえることばかりだと思う。口では言っても抜けもあって、忘れちゃってごめん!ってこともちょいちょいあるが、出来る限り全ての人を認識していたい。

そのためにICTは役に立つと思う。

たくさんの人が行き交うところでは、ICTは届かなかった目や声が届く。


この役に立つICTを学校で使って貰いたい。

でも、この仕事、一人で支援員やってた時から変わらないのは、学校ICTを活性化させることは大切だけど、正直先生に外部人材をいきなり信用しろって言っても、先生にとって我々は未知のウイルスでしかないと心に刻んでいくしかないってことだ。


まだ名前も知られていないことが多く、何が出来るかも理解されてない、それこそ先生はそれぞれに自分の思う夢のICTサポーターを期待するし、初対面で、「ICT支援員なんかいらねぇよ」と言われて泣いて帰ってきた子もいるくらいだ。

そこにくるのが女だと、まずここに壁がある。世の中のICT支援員さんは女性がとても多い。これは多分間違ってないと思う。

世の中は特に「おばさん」を軽んじている傾向がある。そこが私たち女性の最初の壁だ。

「女にITわからんでしょ」

「あ、今日は女の人か」

「女の人には馴染みがないだろうけど」

こんなセリフ日常茶飯事だった。

もう女の子じゃないけど、今は言葉に出さないだけで、その雰囲気こちらはすごく感じることがある。

まずはその印象を覆すためにも下準備をさせてほしいのだ。きっとあなたのお役に立つはず。ちゃんとトレーニングをした私たちに何が出来るか知ってほしい。


だけど、これまで何十人、いや多分私が出会った支援員さんは100は超えているけど、女性で、今40後半から50代の女性は、昔のコンピュータを知っていて、そこでエンジニアだった人が今支援員をやってるケースが意外とある。

そして、この年代はまだ男性が子育てに参加していない比率も高い年代で、子育てのためにフルで働くことを諦めてきた人も多いが、子供の有無にかかわらず、総じて機動力の高いパワフルな人が多い。


実際うちの支援員さんたちには、女性がとても多いけれど、元大手メーカーのサーバー技術者だった人や、開発、映像製作、芸術家や音楽家の人は意外と多いし、それだけでなく、様々な特技を持った人がかなりいる。

つまり、ITだけじゃないプラスアルファのある人材が増えてきているのだ。

そういうリソースがこの年代の女性にはまだかなりある。育てているからわかるのが、出来る支援員さんは増えてきているということ。ただ数が足りない。ニーズが先に増えてしまった。


そんな支援員さんでも、初日のキツさはわかってる。本当はICT支援員さんをこんな入れ方してたら絶対損失の方が多くなる。

一番難しいのはITの知識じゃない。学校ってなんなのか、授業ってなんなのかを少しでも理解しようとする姿勢だ。

ICT支援員に教員免許とらせろとか言う人もいるけれど、教員免許もあって、ICTに長けていて、コミュニケーションスキルもある人材って、こんな状況でいいわけないんだけど。


支援員として必要なのは、免許とかではなく、一人一人の先生がどんな人なのか、その学校のICT活用がうまくいっていないなら、どこからやればいいのかを観察する力だと思う。


学校をサポートするための基本くらいは教えてから派遣してあげてほしいと願うから、会社を起こしたのだけど、だからといって私だって一朝一夕にすごいコンテンツを爆誕させられるほど、余裕があったわけじゃない。でもやるべきことはわかってるつもり。だから支援員さんのカリキュラムを作る。これをやらないと、これから頼んでなくても多分増やされる「ICT支援員」は、先生からしたらお荷物になり、効果を感じられないから阻害され、辞めたり、ただいるだけになる。支援員さんだって人間だし生きてる。役立たずみたいに言われて平気なわけがないのに、言い訳の余地もなく支援員さんが悪いことにされ、クレームがあってもチェンジするだけで変わらないなら、最低賃金だとしたって、年間何十、何百万の予算が費やされるのだから、誰もしあわせじゃない。


そして、学校の外側で教育に携わる人たちで一番こまるのは、メディアと自分の近所だけ見て、学校は何もしていないと思っている人たちだろうなと思う。

その狭い見識だけで学校を上から目線でなんとか出来ると思っている人も増えてきている。


外部の人間の中には先生方自体を馬鹿にしているとしか思えない人も見受けられる。しかし、先生は少なくとも担任を持てば、クラスの子供達と毎日、しかも全員を担当する。近所の子を10人預かった時は、我が子の存在を忘れてしまうほど、てんてこ舞いだった。これが365日続くなんて。

先生はすごい。一日中どれだけのプレッシャーがあるのだろう。尊敬しかないし、感謝しかないだろうに、外部人材は、どうかそれに気付いていてくれと心から思う。


大人だけでなく子供も含め相手のすごいところに敬意を示して、学ばせてもらう気持ちでいなくては、この仕事は務まらない。私たちはあくまで黒子であるからだ。

疲弊した先生方に先生しかできないことをしていただきたい。


今トラブルの元になるのは、お互いを「生きている人間」であり、毎日、いや連続的に毎秒行動して、暮らしていることを考えずに、自分のステレオタイプだけでものを言う人たちだろう。こどもだって一人一人生きていて、考えている。毎日変わっていく。それをICTを使えば…でモデルケースで語っても、絶対そうはならない。

今目の前にいる子供たちにとってどうしたらいいのかが大切だ。

ある学校で、担当の先生は、「この地域の子供たちはおうちにパソコンも買えないような子が多く、学校で初めて触る子もいます。だから、はじめての子供たちに、まずパソコンってこういうものだよ、と触り方からゆっくり、そんなにいきなりすごいことじゃなくていいんで、基礎から教えてほしいです」と言われた。

子供にはパソコン与えて自由にさせればやるようになる、ものがあれば使うという言い方をする人がいるが、その真意は違っても言い方には気を付けてほしい。

あなたの子供がそうであったなら、それはあなたが見守り、その知識があって、そして運も良かったからおこさんは自由なICT環境でのびのびと育つことができたのかもしれない。しかし学校と家庭とは違うのだ。

ICTが素晴らしい世界を見せると思うなら、その出会いをコーディネートする者は、そんな乱暴なやり方をすべきではないと思っている。

出会いをどんなものにするかで、子供たちのICTに対する認識が変わると思う。

責任は重大だ。自由を与えるなら見守る大人には大きな責任が降りかかる。


そんなギリギリのところでやってるから、先生は子供たちには太陽のようであっても、我々ウイルスに優しくする余裕なぞなくて当然だ。だからせめてこちらが邪魔にならないように準備をしたい。

わかってる、新しいものが入るのは邪魔でしかない。人も機械も。先に研究を重ねてきたICTを使いこなしている先生にとっては役に立たない手伝いなど要らないだろう。

それでも、こんなふうにご自分の思いを伝えてくださる先生には本当に頭が下がる。

その先生の思いに添いたい。


ICTをサポートします。授業作りをお手伝いします。なんて私が口にするのはものすごく不遜なことなのだ。

それでも自分が先生になってしまったら、多分ここでは役に立たない。

先生ができないことを私たちがやるのだ。


それは歩くマニュアルになることでもなく、保守契約があるなら、修理屋になることでもなく、先生になることでもない。

私たちは情報のプロとして、多くの情報を活用して流れを読み、一人で頑張る先生が、一人ぼっちにならないためにその学校に良い情報を広め、全員を素敵な世界に案内することだろうと思う。


時には私たちが忙しさを緩和したり、不安を払拭できれば、管理職の先生を動かすことさえできる。実際にそういう経験もしている。学校に信頼されるICT支援とは、情報で、周りの手当てをしながら、先生方がモチベーションを保てるように背中を支えることだ。

だからICT支援員さんにちょっとでもいいから、準備をさせてあげてほしい。


ずっと前から私は学校ICTの水先案内人になりたい。ICT支援員ではなく、ICT水先人になりたい。

舵を取る船長は先生方。私たちはその船の水先案内人。そんな風になれてはじめて、学校ICTをサポートしますと不遜な言葉を口にできるのかもしれない。


参考: https://www.pilot.or.jp



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