ICT支援員の確保がうまくできていない自治体は、なぜ確保できないのか、その理由はいくつかあります。人が見つからない、すぐ辞めてしまうなどがありますが、多くが予算の不足です。不足というより申請が面倒だからとか、説得できないからなどと言いますが、そもそも使える予算をICT支援員に使っていない場合もあります。
はっきり言って時給を上げれば人が集まるのは実証済みです。弊社が予算獲得に協力した自治体は3倍の応募がありました。
スキルはもちろん、人柄なども面接して選ぶ余裕がありました。定員を大きく超える応募があれば、当然スキルでも人柄でもより良い人を雇用できるのは当たり前のことです。それでも、スキルがあるということは、社会人経験者がほとんどですから、その方の経験による仕事の常識に対し、学校や公共を理解してもらうのには、まだまだ苦労がありますが。
はっきり言ってGIGA以降ICT支援はめちゃくちゃにされてしまいました。😔
泣きたいくらいひどい有様です。
まず本来のICT支援員の業務と効果を理解しておらず、SSSの方や講師の先生、そして保守のCEさんと混同していることもあります。
参考)スクールサポートスタッフの一日
本来なら、6.7年くらい前までは、ICT支援員に当たる人のスキルは、コミュニケーションスキルはデフォルト。社会人のマナーは当たり前。挨拶、身だしなみ、そして、説明力もありました。
ICTのスキルとしては、最低でもコンピューターの基礎的な操作は当たり前で、
⚫︎ドキュメント作成→マニュアルなどの文書はささっと作れる、ページ数のあるものなども正しく作れるタイピング速度
⚫︎表計算→素早い入力、四則演算、条件分岐、表引き、文字列操作、グラフ作成程度は当たり前
⚫︎プレゼンテーション→みやすい文字の大きさ、フォントの選択、画像の編集、図表の作成、アニメーション
⚫︎トラブルシュートは状態確認や正しい切り分けと報告だけでなく、ある程度のキッティングやネットワーク設定などもできました。
⚫︎校内研修のために、インストラクションスキルも練習して磨き、学校ならではの例えば電子黒板や授業支援システムなども前に立って先生方にレクチャーができました。
ICT支援員ハンドブック
ICT支援員の調査研究事業
見たことがない機器やアプリでもマニュアルをきちんと読める読解力があるので、少なくとも1週間もあれば概ねマスターできました。
これが最低ラインで募集がかけられました。
そもそもの見積もりが甘すぎるのに、仕様はこの頃と同じフルコンボ。
さらに近年「教育専用」の製品の増加により、学校は特殊なものが増えすぎて、基本的なICTスキルがない人には即時対応が難しくなりました。
スキルがないから、信用できないからと、ICT支援員を機能限定版や訪問頻度・勤務時間を極端に減らした場合、スペックが足りないか、それこそ、「本当は」できるのに、仕様やルールで「これはできません」と言うしかないことがすごく多くなり、ニーズが減った結果、先生がやるしかなくなり、特に業務に縛りがないと思い込まれている、ほかのボランティアや教員業務支援の方がアカウント登録や、デジタル教材の作成にまで駆り出されています。
逆に、機能限定にしたために、ニーズがなく待機ばかりになると、学校側も「あの人座ってるだけだよね」などと不満だらけになり、「自分から仕事を探せ」とか「座ってないで何かしろ」といういらついた雰囲気になり、結局やれる事は何でもやると、消毒や、事務作業をひたすら手伝ったり、テストの丸つけをさせられていたりと悩ましい現実があります。こうして、2ヶ月もしないうちに居心地の悪さに耐えかねて、コミュニケーションをとることもままならず、やめていくケースは後を絶ちません。
ICT支援員は、スキルアップのために、勤務時間以外に勉強をすることが不可欠です。ベースのスキルがない人を雇ったなら、土台から育成するしかありません。そのために研修やアドバイスが必要になりますが、これも当然勤務ですから支援員だけでなく、教育する側にも費用が発生します。
土台があれば、学校で使うアプリや機器は正直まったく難しくないと思います。
ICT支援員に必要なのは、いつでも学ぶための準備と装備。それはベースのコンピュータリテラシーと、先生と同等以上の環境、(セキュリティ権限は管理が必須です)そして委員会が準備すべきは、導入した全てのものの設定マニュアルと運用マニュアルです。これだけは、その辺に落ちてませんから頂かない限りローカルルールはわかりません。
関係各社から強く提出を求めるなど情報共有に力を入れていただきたいのです。
まず、できることは価格競争入札だけは絶対になしにしてほしい。
圧力をかけて業者に無理な予算で人集めをさせないでほしい。業者側もこの事実を説明してできないなら断れる関係であってほしいです。ICT支援員の本来の姿がもうどこにもなくなってしまい、昔からやっている優秀な方の待遇まで下がり、どんどん廃れていっています。
今の学校現場がまずい理由の根本的な部分としてセキュリティの知識と労働基準法や、ハラスメントの基礎知識について理解が乏しいことが挙げられるのですが、これについてはまた次回書きたいと思います。
なるほど。時給を上げるという手段がありますね。やってみようと思います。ありがとうございます。
変化のスピードをおとして、ゆっくり進めていくことで、解決できることがあるかもしれませんね。先生方は着実にスキルを身につけてますので、時間をかけて変化していけばいいようにも感じています。
日本が借金大国という点を踏まえると、学校予算が少ないという課題に取り組んでいくのは、さらに時間がかかりそうですね。
長い目でみると、個々人で工夫して利益を出して、寄付したりして、社会に還元していく働き方が一般的になっていくのかもしれません。(先生方との雑談で、ここ最近の感想。)