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保護者と先生に届けたい一冊『むずかしい子と学ぶAIのネットリテラシー』書評

  • 12月2日
  • 読了時間: 5分

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不安ではなく希望を。保護者と先生に届けたい一冊!

弊社代表・五十嵐晶子による

『むずかしい子と学ぶAIのネットリテラシー 〜「寛容な管理」ではじめる実践ガイド〜

の書評を公開しました。


子どもたちとAI・ネット社会をどう歩んでいくか、一緒に考えるきっかけとなる一冊です。


AIやネットと切り離せない時代だからこそ、子どもたちの未来を「不安」ではなく「希望」とともに見つめたい——そんな保護者や先生に、ぜひ手に取っていただきたい内容です。



▼代表・五十嵐による書評全文


『むずかしい子と学ぶAIのネットリテラシー』を 読んで

 

合同会社かんがえる 代表 五十嵐晶子

 

本書を拝読し、著者と初めてお会いした際に感じた強い共感が、確信へと変わりました。最 初から最後まで非常に納得のいく内容で、私自身の子育てを振り返り、反省すべき点や、 一方で間違っていなかったと思える瞬間を与えてくれました。自分もネットリテラシーの研 修をする立場で、交通安全を例に上げることが多いのですが、この本では自分自身できな かった後悔や、運良く無事で済んだものの、自分の娘たちが間一髪免れた危険を振り返ら せてくれるものでした。 

お世辞でなく、現代のネット社会における子育ての難しさと、その本質的な対処法につい て、多くの気づきと安心感を与えてくれる一冊だったと言えます。

 

子どもへの信頼と基本的なスタンス 

ネットリテラシー教育の根幹は、子どもへの信頼、すなわち「性善説」に立つことだと、改め て教えられました。【自分の子供なので「性善説」に立ちましょう。自分の子供なので。】 この言葉は、親としての愛情と、子どもを信じる姿勢の重要性を強く示しています。ネット上 の操作スキルや賢さよりも、まずこの信頼の土台が不可欠であると感じました。 【君が賢いかどうか、操作が上手いかどうかは関係ないんだ。】 

高学年になると学校の先生も操作スキルで叶わなくなり、それにともない指導に尻込みす るようになります。子供の圧倒的な成長とテクニックを見せつけられて、それを自分ができ ないがために、善悪の判断まで不安定になり、結果大人の権力を振りかざして「禁止」に 走ってしまうのだと言えるでしょう。子供のネットリテラシーについては、日頃から多くのご相 談をいただきますが、それはほとんどがICTのスキルではなく生徒指導についてなので す。この言葉を先生にも届けたいと思います。 


ネット利用は「免許制度」として 

ネット利用のルール作りを「一度決めたら終わり」ではなく、進化し続けるものとして捉える 視点は、非常に現実的で有効です。「免許制度」というワードが非常にしっくりきて、昔は学 校で自転車運転教室などがあり、そこで受講した子供は自分で自転車に乗って近所にで かけて良いという子供免許をもらえたことがありました。こういった丁寧な指導が学校では だんだん形骸化し、ちょうど今、情報モラル研修を1回やって終わりになっていることを懸念 して、提案をしている自分にとってはストンと落ちるものでした。

子どもの成長と技術の進化に合わせて、ルールも柔軟に更新していくという「免許制度」の 考え方は、現代の子育てにおいて取り入れるべき重要な視点だと思います。 


メンタルヘルスと最強のセキュリティ対策 

本書が強調する最大のセキュリティ対策は、ウイルスソフトではなく、心身の健康でした。 特に、睡眠の質とスマホ利用に関する提言は、おそらく多くの保護者にとって目から鱗が落 ちる内容です。「充電器を寝床(寝室)に置かない」自分も心掛けようと思いました。 良い睡眠を小さい時から目指すことは両親が働く家庭がかなり多くなった現代で非常に大 きな課題です。幼稚園のサポートをしていて、親の生活習慣に振り回されている幼児を多く みるようになり、先生方ともそれについて話すことが多く、ここも幼児教育から伝えていくべ きと感じました。 


ネット上の人間関係と防衛術 

ネットの向こう側にも、感情を持った生身の人間がいることを常に意識し、リスペクトを持っ て接することの重要性も説かれています。これは「情報モラル」や「ネットモラル」の基礎で ありながら、年々軽視されがちであるイメージでしたが、改めて繰り返し伝えていきたい、形 だけにならないような教育が求められるものだと思いました。 

そして、もし攻撃的な態度を取られた際の「防衛術」として、「ブロック」という賢明な行動が 推奨されています。 

これは、親も子も身につけるべき、現代のコミュニケーションスキルであり、メンタルを守る ための知恵です。多くのSNSには「ブロック」と「ミュート」があり、それらを適切に使うことに 躊躇しないことが大切だと言えるでしょう。 


詐欺・商法とファクトチェック 

子どもたちを「ネットに蔓延するある種の商法」から守るための知識も提供されています。 「本人が欲しいと合意した」という契約が成立してしまう、利用規約についてもまさに伝えた いことが明確に書いてあって勉強になりました。 

また、フェイクニュースや誤情報に惑わされないための「ファクトチェック5つのステップ」は、 親子の共通言語として活用できます。 


「学びの始まり」として 

本書は、ネットリテラシーという「知って終わるもの」ではなく、子どもたちが世界とつなが り、愛し、学び続けていくための「きっかけ」を提供してくれます。「半径5メートル」の人々 と、一緒に考え、愛し、学び続けていく「きっかけ」。本当に心に響く言葉で、自分自身も近 所の人ともっと関わりをもっていこうと再認識させられました。

親として、子どもたちの未来を、不安ではなく希望を持って見つめられるようになる一冊で す。すべての保護者の方にそして教育に関わる全ての方に強くお勧めします。



▼書籍 [技術書典19]むずかしい子と学ぶAI時代のネットリテラシー 〜「寛容な管理」ではじめる実践ガイド〜

DHGS_CAIL デジハリ大学院「クリエイティブAIラボ」

著:しらいはかせ


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